山行記録 『樽前山〜風不死岳』
概要 |
出典「登ろういぶりの山 山登りまち巡りガイド-樽前山- 」『胆振総合振興局』2016年7月12日現在
「風不死岳 - ふっぷしだけ:標高1,102m-北海道:支笏・洞爺 - Yamakei Online」 『山と溪谷社』 2019年9月22日現在 |
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標高 |
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主な登山ルート |
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登山形態 |
縦走 |
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日程 |
2019年9月1日 |
ルート |
樽前山ヒュッテ〜奥宮〜西山〜932m峰〜風不死岳〜樽前山ヒュッテ 標高差:492m |
メンバー |
1人 |
アクセス |
車 |
地図 |
前泊キャンプ
北海道の短い夏も終わり夏山シーズンも残りわずか。山に行きたいけどキャンプもしたい!ということで、その両方が実現できる樽前山へ向かいました。
出発が遅かったので支笏湖畔のモラップキャンプ場に着いたのは日没1時間前。家族キャンパーがごった返す中で湖から10mくらいの位置になんとかテントを張れるスペースをみつけ慌ただしくテント設営。
焚火台に火を起こし、一人焼肉開始。湖とテントの間には視界を遮るものは何もなく山に沈んで行く夕日も素敵すぎる。念願だった薪を使っての焚き火も満喫できてもうホント最高!とこの時は思っていました。
夜も更けて星空をたっぷり堪能しスリーピングに潜る。登山口はすぐそばだし明日はゆっくり起きてダラダラと撤収、一息ついてから山に向かおうと考えながら就寝
夜半過ぎ風が出始めて波音が強くなってきました。初めは我慢していましたがあまりにも波音が大きく近くに聞こえたのでテントが水没するのではないかと心配になり入り口のチャックを開け外を確認。そんなことを数回繰り返し「こんなんじゃいつまでたっても眠れない」と3時頃に撤収を決意しました。良い場所が取れたと浮かれていた昨日の自分を恥じつつ、星だけが輝く暗闇でヘッデンを頼りに周囲の宿泊者に気をつけながらの撤収です。素早く撤収を済ませ登山口へ向け出発!
登山開始
7合目登山口は朝5時前だというのに20台ほどの車両が停まっていました。早々に登山準備を済ませ4時49分、3年ぶりの樽前山登山を開始しました。
登り始めは道が狭く草木に囲まれていますが15分も歩かないうちに道がひらけ、樽前山らしい軽石の道へと変わります。軽石で足を滑らせないように歩いていると前方にでっかいレンズをつけたカメラを構えている人を発見。レンズが向く方を見ると今にも太陽が出てきそう!足を止めて御来光を拝んで再出発です。
それにしても御来光のパワーってすごいですよね!明るさと暖かさに包まれて寝不足もぶっ飛びました。神秘的な光を浴びすぎたのかそれともモルゲンロートのように赤みを帯びて輝く樽前山を見すぎたせいなのか、もしかして支笏湖は僕にこれを見せるために波を立てて僕を起こしたのではないか?ぼくは導かれたのか?などとバカなことを結構真面目に考えながら歩いているうちにあっという間に外輪山に到着です。
お鉢周り
外輪山(お鉢)は前回同様の爆風!!(動画を視聴して風の音を聞いていただけるとその強さが伝わると思います。)油断すると転んでしまうのではないかという風で、先程までのフワフワ頭もどこへやら、現実に引き戻され体温が下がらないようにウインドシェルを着込みました。こんな風の中まともに歩けるのかと不安に思いながらもとりあえず奥宮までを目標に5時20分前進開始です。
先程までたくさんいた登山者は外輪で引き返したか東山に向かったらしく貸切状態で、心配していた風も風向・風速が一定なので慣れてしまえば意外と歩きやすく景色を楽しむ余裕もでてきました。前回は雲でほとんど隠れていたドームもくっきり見えます。
太平洋を左手に見て風に寄りかかりながら進むこと15分弱で樽前山神社奥宮に到着しました。
樽前山神社奥宮
奥宮は外観は石積み、中はコンクリートでガッチリと作ってあるので数名なら一時的な避難場所としても利用できそうです。お賽銭を入れ山行の安全を祈り西山に向け出発
道は歩行の妨げになるような草木がなく高低差もそれほどないので風さえなければかなり歩きやすいです。その風も西山に近くなると西山が風避けになってくれているのか、それともその時間帯はたまたま風が弱まったのかわかりませんが、嘘のように風が弱まり立ち止まって火山ドームを観察する余裕も出てきました。白老町で育ったので樽前山は飽きるほど見てきたのですが、これほど近くでドームを見たのは初めてでなんとも言えない感動を覚えました。
西山直前でキュキュッとした登りになりますがわずかな距離なので苦になりません。
西山
5時56分、西山到着!大きな観測装置のすぐ傍に西山の看板が立っています。西山からは太平洋と故郷の白老方面の眺めがよく、見えるはずもないのに思わず実家はどこかなと探してしまいました。
軽い休憩を終え西山出発。目の前にはいかついけどかっこいいドーム!太陽が上がりきっていないのでドームが日差しを遮って汗ばんできた身体を冷ましてくれました。
周囲には自分より遥かに大きな岩石がゴロゴロとあります。噴火時にできたものなのでしょうか。どれだけのエネルギーがあればこの大岩を飛ばすことできるのだろうと考えると「自然の力の前では自分の力なんて無に等しいなぁ」なんて普段考えないようなことで頭を満たしてしまい、つい1時間ほど前に感じた御来光のパワーと目の前に広がる景色とが相まって不思議な感覚に包まれました。
感慨にふけっていると外輪山に入って初の登山者発見!登山者と言ってもトレイルランナーで、すっごい笑顔であっという間に通り過ぎて行ってしまいました。気持ちいいんだろなぁ
東山と風不死岳方面の分岐に到着。当初の予定ではこのまま右折してお鉢をぐるっと1周して帰るつもりだったのですが、予定よりかなり早く出発したためまだ7時前。このまま帰るのは勿体ないなと思い、とりあえず932m峰に向かうことにしました。
932m峰(北山)
分岐から932m峰までの伸びる稜線がとてもきれいです。ここまで来ても不思議と風はなく山頂まで気持ちよく歩くことができました。
932m峰の山頂はというと控えめな看板と控えめなケルン、控えめなスペースがありました。ここまでまともに休憩を取っていなかったので腰を下ろして朝食タイム
ん?そういえば山の西側と東側の植生が違う。全く違う!西側は樽前山と同じようにほぼハゲ山、一方東側は風不死岳と同じように結構モサモサ。このモサモサがそのまま風不死岳まで続いています。こんなに植生がはっきりと分かれてるのも面白いなと感心しつつ次の行動を考える。予定を変えるのは好きじゃない。山行計画を変えるのは特に。でもまだ時間が早いんだよなぁ。このまま下りたら帰りに寄りたかったラーメン屋がまだ開いてないんだよなぁ。そもそも登山開始時間が早まっただけで下山予定時刻を超えるわけじゃない!まだ体力も水も食料もあるしせっかくだから風不死岳行ってみるか!と、実際こんな思考過程で樽前→風不死岳の縦走が決まりました。
風不死岳
行くと決まったらすぐに行動開始!932m峰をおりて北に進路をとります。今までの砂れきの道が終わり、北海道の低山らしい小道の脇に樹木が並ぶ道へと変わりました。シマリスも出迎えてくれました。序盤でトトロのメイちゃんなら走り抜けそうな木のトンネルをくぐり、山は風不死モードに変わります。
うん、きつい!樽前山と全然違う。無計画に来るべきじゃなかったと何度も反省です。
今回は登るつもりがなかったので読み流していたけど、ガイド本やWebにも風不死岳の鎖場のことが書いてあったような…。
確かに「おっ?!」って構えてしまいます。今まで登った山の中では一番長くて急なような気がする。でもまぁ全然登れる。足を踏み外したとしても八剣山ほど危険な感じもしない。落ち着いてやりゃぁできる!
写真の鎖場が多分一番キツいもので他に2箇所ほど鎖場があったと思います。
途中何度も休憩をしつつ急な道を進みます。息も切れ時間的にもそろそろ頂上かなと思っていたら前方にいかにも頂上的な岩れきのコブが見えて来ました。あと少し!コブ目前まで来ると道は左に外れトラバース。あれ?と思っていたらコブより標高が高そうな樹木に覆われた山が出現(-.-;)
完全にやられました。今まで見て来た中で1番のニセピークです。きちんと地図を読んだり下調べをしておけばこんなのに引っかからないと思うのですが…完敗です。ニセピークのドヤ顔が目に浮かびます。
気を取り直して山頂へ。
そんなこんなで8時5分に風不死岳登頂です。
登頂時の先客は1人だけ。「コーヒーでも淹れてゆっくりしようかな」と思っていたら僕の登頂から3分もしないうちに10数名のトレランの集団が到着。山頂は満員御礼状態です。仕方がないので場所を譲って下山開始
下山は下山で結構きつい。トレラン集団にはあっという間に抜かれました。下りの鎖場は恐怖、足には力が入らなくなり膝はカックンカックン。急な下り坂の途中で誤って5cmくらいの石を踏んでしまいその石がコロコロ転がり始めました。その石が数m先で更に大きな石にあたり僕を抜いて行った休憩中のトレラン集団めがけて落ちて行く。生まれて初めて「ラクッ!」と本気で叫びました。幸い誰にも石は当たらなかったものの平謝り。猛省です。
帰りのルートは決めていませんでしたが、そんなこともあったので最短のルートで帰ることにしました。
樽前山の裾をトラバースするルートで、多少距離はあるものの高度に大きな変化はなく歩きやすい。クールダウンにぴったりなルートでした。
道が不明瞭な箇所があり1度だけ誤った方へ進んでしまいましたがすぐに気がついて無事下山。7合目ヒュッテの真横に到着です。
帰りは予定通りラーメン屋さんに寄って山行の締めくくりとなりました。
2019年9月26日