山行記録 『美瑛富士・美瑛岳 テン泊縦走』

美瑛富士・美瑛岳 テン泊縦走の概要

概要

石狩山地の十勝岳連峰(十勝火山群)のひとつで、火山としては主峰の十勝岳より古い。山名はアイヌ語で「油ぎった」を意味する「ピイエ」から来たもので、山からの硫黄が川に流れ込んで濁っていたことに由来する。

美瑛岳南面の荒々しい爆裂火口から深いV字沢を形成し、美瑛川の支流であるポンピ沢(アバレ川)の源頭となる。山頂付近にはチングルマやエゾノツガザクラといった高山植物が自生している。

登山道はポンピ沢に沿った直登コースが開削されているほかに、十勝岳経由で主稜線を縦走して山頂に至ることも可能。いずれも望岳台が起点となる。

出典「美瑛岳」『ウィキペディア』2015年8月18日現在

石狩山地の十勝岳連峰(十勝火山群)のひとつ。十勝岳の火山活動に伴い、1万年前以内の時期に形成されたと考えられている。通称として「富士」の名を冠する山(郷土富士)は各地にあるが、美瑛富士は山の正式な名前として「富士」と付けられている。火山ではあるが2010年現在、活動は見られない。山域は1934年12月4日に大雪山国立公園の特別保護地区に指定されている。山の上部は森林限界で高山植物が見られる。

東側の標高1,000 m付近に収容人員25名の「美瑛富士避難小屋」があり、白金温泉から約4キロ離れた涸沢林道に「美瑛富士登山口」があって、美瑛岳やオプタテシケ山に向かう登山者に利用されている。その縦走路は山腹の東側を通っている。

出典「美瑛富士」『ウィキペディア』2015年8月18日現在

標高

美瑛岳:2052m  美瑛富士:1888m

登山形態

縦走 テント泊

日程

2015年8月1日〜2日

ルート

1日目:望岳台〜ポンピ沢〜美瑛岳分岐〜美瑛富士分岐〜美瑛富士小屋

2日目:美瑛富士小屋〜美瑛富士分岐〜美瑛富士〜美瑛富士分岐〜美瑛岳〜美瑛岳分岐〜ポンピ沢〜望岳台

標高差:1122m

メンバー

単独行

アクセス

バイク

地図

コースタイム

1日目

YAMAPによる活動記録

望岳台

望岳台のトイレ 望岳台 レストハウス

旭川自宅から車で1時間ほどの距離にある望岳台。12時には登り始める予定だったが家庭の事情(子守&留守番)で家を出るのが遅れ望岳台に到着したのは15時過ぎ。出発前にしてすでに3時間のロス…。コースタイム計算ツールによると、1日目の目的地である『美瑛富士避難小屋』までは普通に歩いても4時間ほどの行程とのこと。日没までは残り4時間弱。テントもあることだし最悪の場合でもなんとかなるだろうと登山を決意

時間も遅かったということもあり望岳台は数台の車があるだけ。レストハウスは閉鎖されていたが自販機と別棟のトイレは健在。出発前にありがたく利用させてもらいました。

望岳台石碑 望岳台登山ポスト

登山ポストには登山計画書を投函できる設備はなく簿冊が用意されているだけである。用意してきた登山計画書は懐に入れたまま氏名と簡単な登山計画を記入して15時15分登山開始!


白銀荘分岐・雲ノ平分岐

白銀荘分岐 雲ノ平分岐

登り始めは草木はほとんどなく緩やかな登りが続く。20分ほどで白銀荘分岐を通過しその20分後の15時55分には雲ノ平分岐を通過。昨年十勝岳をやった時はここを右折して数百m先に見える十勝岳避難小屋の方へ向かったけれど今回は左折して美瑛岳方向へ。

雲ノ平分岐からの道

当初ややきつめの登りが続くがその後は雲ノ平のトラバースに変わる。道は小石が混じる程度で歩きやすい。途中20代後半くらいの男女とすれ違い「この時間から登るってことはもちろん泊りですよね?」と男性に声をかけられた。表情から察するに「こんな時間から登り始めるのは非常識だぞ!大丈夫か?」と言われているようであり、知らぬ人にまで心配をかけてしまい大変申し訳なく思った。家を出るのが正午を過ぎた時点で今登山を中止しなかったことを反省


ポンピ沢

ポンピ沢手前の沢

雲ノ平分岐を通過してから約50分後の16時42分、トラバースの終わりが近くなったところで残雪たっぷりの沢(「函状の沢」というらしいです。)が現れました。近づくまで気がつかなかったが対岸側に雪から1m程度ハシゴが飛び出している。そういえばガイド本にポンピ沢手前に7mくらいのハシゴがかかった沢があったなぁとその沢のことを思い出し、真夏だというのにその沢に残った雪の量に驚いた。


ポンピ沢

函状の沢を渡り下り道を10分も歩くとポンピ沢に到着。当日は川幅が2m程度あったため渡渉も覚悟しましたが、ガタガタする不安定な石を利用してストックでバランスをとりながら濡れずに渡りきることができた。写真を見る限りでは簡単に渡れそうですね(^ ^;

ポンピ沢を越えると本日一番の急斜面が待っていた。テン泊道具を背負っての約30分間の登りは結構キツかったが登り切ると次のポイントである「美瑛岳分岐」が現れる。


美瑛岳分岐

美瑛岳分岐

途中何度も休憩をはさみ出発から約135分後の17時31分に美瑛岳分岐到着。予定よりも30分程度早く歩けているようだ。日没まで約1時間半、残りの行程は70分程度ってことでここまでは順調である。多くの人はこの分岐を右折して美瑛岳に向かうそうだが、美瑛富士避難小屋を目指す方はこのまま直進を。

道が良かったのはここまで。ここから先は一気に道が変わる。トラバース気味の平坦な道が続き地表から20~30cmほどは今まで通りの歩きやすい道なんだが、その上がひどい…

前述したようにほとんどの人が美瑛岳を目指すようで草木が伸び放題である。遠目に見たらそこに道があることすらわからないだろう。が、足元だけは幅30cmくらいのしっかりと踏み固められた道があるのでそれを頼りに進むことになった。それでも途中2度ほど道を見失い引き返す羽目になり明るいうちに目的地にたどり着けるかとかなり不安になった。おまけに、草に付いた水滴で全身がずぶ濡れに。事前にカッパを着るべきだったと良い勉強になった。


美瑛富士分岐

美瑛富士分岐

18時15分、無事に美瑛富士分岐(美瑛岳と美瑛富士のコル)に到着。霧が濃かったため美瑛富士も美瑛岳も見ることができなかったがここまで概ね予定通りについたことに満足、というよりは安心した。

ここから美瑛富士避難小屋までは30分もあれば着くはず。なんとか明るいうちに到着できそうだ。本当に良かった。


美瑛富士避難小屋

美瑛富士避難小屋

望岳台から歩くこと3時間25分の18時40分に本日の目的地である美瑛富士避難小屋に到着。日没まであと10分。日が落ちたからといってすぐに暗くなるわけではないが危なかった。色々と反省しつつも今夜の寝床を作るために行動をしなければいけない。

避難小屋での宿泊も頭をよぎったが、中には既に10名くらい先客がいたしせっかくここまでテントを背負ってきたのだからと予定通りのテン泊を決行した。避難小屋の目の前がキャンプ地に指定されているのだが植物の上を除けばテント4張り分くらいのスペースしかなく、当日は既に2張りが展開していた。仕方なく水捌けが悪そうなスペースにテントを張ることになった。


モンベル ムーンライト

テントは今日がデビューのモンベルのムーンライト。家で2回も展張練習をした甲斐あって5分ほどで設営を終え、急いで寝床を整え荷物を入れる。美瑛岳分岐〜美瑛富士分岐間でずぶ濡れになった服を着替え夕食の準備。夕食はレトルトリゾットとチキンラーメン。どちらもお湯を沸かすだけでOK!ちょっと寂しい食事だけど時間的には仕方がない。移動中に行動食も結構食べたし満腹感を得ることはできた。食事を終えると外はもう真っ暗で避難小屋の中も暗く静まり返っていた。が、近くのテントからはお酒の入ったおじさまたちの声が聞こえてきて、しかも内容が会社の愚痴なんだよなぇ。こんなところに来てまでそんなこと聞きたくないよと思いながらテントに戻り1本だけ持ってきたビールを飲んで眠りについた。憧れていた「吸い込まれるような星空の下で一人静かに夜を過ごす」というシチュエーションとはかけ離れた夜を過ごすことになりました。


コースタイム

2日目

YAMAPによる活動記録

美瑛富士避難小屋

美瑛富士避難小屋 美瑛富士避難小屋内注意看板 美瑛富士避難小屋内

2日目は4時半に起床し簡単に朝食を済ませ出発の準備をした。空は快晴で避難小屋裏の美瑛富士が朝日を浴びてとても綺麗だった。早く登りたい!

避難小屋の宿泊者たちは既に出発したようで人の気配はなく、せっかくなのでと中を拝見。頑張れば20名程が横になれそうなスペースがあり案外きれいであった。オプタテシケへのピストンでもやりに行ったのか、前夜の利用者の荷物がそのまま放置されていて山小屋素人の僕としてはちょっとした驚きだったが、普通の光景なのかもしれない。だとしたら登山愛好者に悪い人はいないようだ。避難小屋にトイレはないが小屋の横に簡易トイレ用のテントが設置してあった。

出発前に水を補充しておこうとガイド本にあった水場を探したが見当たらない。水の補充は諦め5時10分美瑛富士避難小屋を出発した。

石垣山からの朝日

歩き始めてすぐに登山道西側の石垣山から朝日が昇ってきた。あたりは既に充分明るくなっていたが予想外のご来光に感動した。

道はぬかるみもなく歩きやすかったのだが、ところどころハイマツが登山道にはみ出しているためそれらが足にあたり美瑛富士に着くまでに足元は昨日同様すっかり濡れてしまった。


美瑛富士分岐

美瑛富士分岐と荷物 美瑛富士頂上に続く登山道

昨日は見ることができなかった景色を楽しみながら歩いているうちにあっという間に美瑛富士分岐に到着。

水分など必要なものだけを持って他の荷物は分岐に置くことにした。頂上までは踏み跡を辿っていくだけでよく、障害物もなく道の前後が見渡せて心理的にも楽に登ることができた。


美瑛富士山頂

5時54分、美瑛富士山頂の到着!快晴で風もなくいうことなし!最高の景色を楽しみつつご褒美缶コーヒーを飲む。昨日と違い時間に追われていないので純粋に登山を楽しむことができる。本当に気持ち良かった。


美瑛岳山頂

分岐で荷物を回収し次は本日2峰目の美瑛岳に向け前進

分岐を出てすぐに直登気味の急登が始まる。「ゼーハー、ゼーハー」言いながら登っていたら途中で小学校中学年くらいの女の子3人に出会った。30代半ばのおじさん(私)がゼーハー言いながら登っているのを横目に空身で歩く速度は遅いながらもキャッキャ騒ぎながら登っている。若さってすごい!その前方20mくらいのところに保護者らしき60代くらいの男性。こちらは自分と子供3人分の荷物を背負っているらしくザックをパンパンにしてとてもキツそうだ。孫とその友達を連れて登ってきたのだろうか。ご苦労様です。

美瑛岳からの眺め

ふとオプタテシケ山方面に目をやると先ほどまで雲ひとつなかったはずだが、朝日で暖められた斜面からかなりの勢いで雲が生成されている。山の雲はこうやって発生しているのだなと感心した。


美瑛岳裏側

十勝岳・美瑛岳の分岐を右に折れ美瑛岳方向に進むとすぐにトラバース状の道に変わる。段々畑というほどはっきりしているわけではないが数段に道が分かれ、一番踏み跡が多い道を歩いているつもりでもいつの間にか美瑛岳の裏側に出そうになってしまったりもした。

道を間違えたとしても1段下にずれて歩くなどしていればすぐに山頂に着く。かなり手前から山頂を望むことができるので迷うこともないだろう。

美瑛岳山頂

7時18分、美瑛岳に登頂成功!先客もなく山頂を独り占め。今回の目的であるテン泊からの美瑛富士・美瑛岳の縦走はこれで達成した。あとは安全に下るだけ。時間は十分にある。ここからまっすぐ下りずに十勝岳縦走というプランも頭をよぎったが計画にないことはやめようとまっすぐ下りることにした。

下りも美瑛岳分岐までは結構急な坂が続く。岩混じりの稜線を進むと左前方に昨日歩いた雲ノ平のトラバースの道が見える。途中何組かの登山者にあったがどの組も辛そうな表情をしていた。90分ほどの急登を歩くことになるのだから無理もないだろう。


美瑛岳分岐〜望岳台

ここから先は昨日歩いた道を引き返すだけ。特筆事項も特になく10時21分に無事望岳台にたどり着いた。

その頃には山の空は既に雲で覆われていた。早朝に山に登り始める理由を身を持って知ることができ嬉しくなった。

2015年10月4日