山行記録 『利尻山(利尻富士)』
概要 |
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標高 |
1,721m |
主な登山ルート |
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装備 |
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登山形態 |
小屋泊、ピストン、Sea To Summit |
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日程 |
2016年7月16日〜17日 |
ルート |
鴛泊コース(鴛泊フェリーターミナル〜北麓野営場〜利尻山避難小屋〜利尻山山頂) 標高差:1,721m |
メンバー |
4名 |
アクセス |
マイカー、フェリー |
地図 |
コースタイム
- 09時40分:鴛泊フェリーターミナル発 〜 セイコーマート 〜
- 11時00分:北麓野営場 受付、昼食、テント設営
- 12時00分:北麓野営場発
- 12時06分:3合目 甘露泉水
- 12時18分:ポン山分岐
- 12時41分:4合目 野鳥の森
- 13時13分:5合目 雷鳥の道標
- 13時41分:6合目 第一見晴台 休憩
- 14時32分:7合目 胸突き八丁
- 15時02分:第二見晴台 休憩
- 15時44分:8合目 長官山
- 15時57分:利尻山避難小屋着
- 02時30分:利尻山避難小屋発
- 02時50分:9合目 時間調整
- 03時16分:沓形分岐
- 03時31分:利尻山山頂着
- 04時45分:利尻山山頂発
- 04時57分:沓形分岐
- 05時14分:9合目
- 05時48分:利尻山避難小屋 デポ物品撤収
- 06時10分:8合目 長官山 休憩
- 06時28分:第二見晴台
- 06時49分:7合目 胸突き八丁
- 07時06分:6合目 第一見晴台 休憩
- 07時55分:5合目 雷鳥の道標
- 08時18分:4合目 野鳥の森
- 08時39分:ポン山分岐
- 08時41分:3合目 甘露泉水
- 08時55分:北麓野営場
利尻島へ
6月中旬に職場の友人が「海の日に山へ行こう!」という一言から始まった今回の利尻富士登山。日本百名山の一座である利尻富士については当然知っていたのですが、他に登りたい山もあるし登山に至るまでのプロセスを考えると登ってみようという気にはなれずにいました。しかし今回は違います。メンバーは4人でそのうち2名はバリッバリの体力の持ち主。「うん、行く!」と二つ返事で計画に乗りました。
2度の打ち合わせ、富良野岳への練習登山を挟み7月16日実行の日となりました。数日前の天気予報では怪しい雲行き。前日になって雨マークは消えましたが油断はできません。当日はメンバーのほとんどが仕事があったため職場のある旭川を出発したのは夜10時。かなり遅い出発となってしまいました。
真夜中に稚内に到着。当初は近くのキャンプ場で宿泊することも考えていたのですが、遅くなりすぎたためそのまま車中泊することに決定。稚内道の駅の駐車場にでも停めて寝ようと考えたのですが驚いたことに駐車場は車でいっぱい。結局そこには停められなかったのですが、すぐ隣に無料の駐車スペースがあったためそこで仮眠をとることになりました。
車内で2時間ほど仮眠をとり5時過ぎには周りの車が動き始めたためこちらもそれに習って行動を開始。フェリーターミナルはまだ新しいようでとても綺麗!椅子もかなりの数があったので早めに行ってもゆっくりできます。3連休のためだと思いますが、乗船時にはかなりの人数が押し寄せていました。
稚内港から利尻島鴛泊港へはフェリーで約1時間40分。天候が良かったためか揺れもほとんどなかったのですが船旅を楽しむこともなく仮眠の続きをとりました。
利尻島に到着
鴛泊港では利尻富士町のキャラクター「リップちゃん」が出迎えてくれました。人の波に押されながらフェリーターミナルを出て、今後の行動をメンバーで話し合っているところにタクシーの運ちゃんが近寄ってきました。話が長かったので面倒なのに捕まっちゃったなぁなんて最初は思っちゃったりもしたのですが、島にはタクシーが10台ほどしかなくて今時期は島内観光でほとんど出払ってしまうので捕まえるのは難しいこと、フェリーや飛行機に合わせたタクシーの行動パターン、島の天候のことなどいろいろ教えてくれ、利尻島の登山ガイドまでいただきました。先ほど面倒だと思ってしまったことを心の中で詫び、お礼を言ってとりあえず出発!昼食と夜のお楽しみのビールを買うためにセイコーマートを目指しました。
セイコーマートから鴛泊コース登山口がある北麓野営場までの約3.5キロののどかなアスファルトの道を進みました。
北麓野営場〜
11時に北麓野営場に到着。この後に管理棟へ立ち寄って計画書を提出するのですが実はこの時点で今回のプランが定まっていませんでした。というのも僕たちの目的は御来光を見ること。できれば避難小屋に泊まって早朝にそこを出発し山頂へ向かいたい。それがダメなら野営場にテントを張って1時頃に出発するしかない。しかし、下調べをしても避難小屋利用は原則禁止と書いてあったり、避難小屋に泊まったと書いてあったり、さらには避難小屋を利用しての御来光ツアーが組まれていたりと結局利用可能なのかどうなのか判断がつかない。どっちに転んでもいいようにテン泊の準備もしてここまで来てしまったのです。
管理人さんに事情を話したところ「なんも小屋に泊まればいいっしょ^^」と神の一声。すぐに登山計画書を提出し、テント一張り分だけ野営場の利用申請をして他のテン泊グッズをその中に突っ込みました。
みんなで夜中に出発しなくてよくなったことを喜び合いながらセイコーマートで買ったカツ丼を食べました。うまい!
北麓野営場出発〜
12時北麓野営場を出発。3合目の甘露泉水まではきっちり整備された遊歩道を進みます。
足慣らしも済まないうちに甘露泉水に着きました。甘露泉水は日本名水百選にも選ばれた美味しいかつ利尻山唯一の水場です。ここで全てのボトルの水を入れ替えこの後の本格的な登山への最後の準備をします。
5合目までは針葉樹林が茂る森の道が続きます。ところどころ視界が開け礼文島を望むことができました。
6合目 第一見晴台〜
13時40分第一見晴台に到着。普通の登山者と登山開始時間が異なるためそれほど混み合っていません。小休憩を挟みましたが野営場出発から約1時間40分です。早くもなく遅くもない速度
避難小屋に早く到着しても時間を持て余すということで、ここで大休憩です。背中が汗でベッチャリとなっていたため太陽で温められた地面の石に背中を押し当て乾燥。そうしているうちに睡眠不足も手伝って少しの間寝てしまいました(-_-)zzz
数分の仮眠のあと第一見晴台を出発です。7合目まではハイマツやダケカンバの低木の中を進みます。
7合目胸突き八丁です。山行を終えて振り返るとここが一番きつかったと思います。日帰り登山の方は体力も無くなってきた9合目のガレ場が最大の難所となるようですが、同じ体力で挑むなら多分こっちの方がきつい´д` ; 「胸糞八丁」などと毒づきながら歩を進めました。
第二見晴台〜
15時02分第二見晴台に到着。やっと雲を突き抜け利尻山山頂が見えた!と思ったら長官山でした(⌒-⌒;
利尻山はその向こう。山の先輩?である友人が地図を見ながら教えてくれました。立体的に正確に読図できるとかっこいいですよね!
第一見晴台よりさらに良くなった眺望を楽しみながら時間調整の長めの休憩。今日の目的地である避難小屋まではもうすぐです。
ひと休みし第二見晴台を出発
高度が上がるにつれさらに眺望も開け礼文島全体がはっきりと見えるようになりました。
第二見晴台から長官山まではあっという間です。長官山までくると今度は本物の利尻山山頂が見えテンションもグッと上がります。
ここでまた時間調整のための休憩です。
なお登山ガイドでは登山開始からここまで4時間以上かかるようならここで引き返し下山するよう促しています。
利尻山避難小屋
長官山を適当な時間に出発。長官山から避難小屋までは今山行中唯一と言っていい平地となります。利尻山というか利尻島自体が綺麗なコニーデ型(円錐形)なので往路はずっと登り、復路はずっと下りなんですね。一般的な山行では山あり谷ありって感じで歩き方も変わり少しは足の疲れも取れるのですが…。そんな中での貴重な区間。とは言っても小屋泊なんであんまり関係ありませんσ^_^;
15時57分本日のゴールである利尻山避難小屋に到着しました。登山開始から約4時間です。
緊急時には30人ほどの避難が可能とのことですが、内部は20畳ないくらいの広さです。トイレブースも外に2つ設置されているので安心です。
この時点では僕たちの他に利用者はおらず貸切状態。ビールで乾杯のあと汗で濡れた服を各々乾かし夕食の準備をして夜を待ちました。
1時間ほど経った頃新しい利用者が到着しました。沓形コースから一人で登ってきたそうです。いろいろ話していると大学の先輩だということが判明。「世間って狭いですよねぇ」なんて言いながら楽しいひと時を過ごしました。
明日の頂上アタックに備え(大げさですね^^;)20時に就寝(= ̄ ρ ̄=) ..zzZZ 風もなく静かで気温もそれほど下がらなかったので快適な夜を過ごすことができました。
2日目
1時半起床。皆ぐっすり眠れたようで疲れもそれほど残っていない。出発予定は1時間後のためゆっくりと朝の準備を開始したました。着替え、朝食、デポ(残置)物品の振り分けなどをやっているうちにちょうどいい時間に。
予定通り2時半に小屋を出発!荷物をデポったので軽い軽い♪(´ε` )
薄い雲がかかっていたため満天の星空を楽しむってわけにはいきませんでしたが、風もなく暖かで順調に夜の登山を楽しむことができました。実は夜間山行は初めてでちょっと怖かったのですが、利尻島にはクマがいないし、登山道もほとんど分岐がないため迷うこともない。それでもって仲間もいたので安心です。
2時50分に9合目に到着。この日の日の出時刻は3時50分頃なのでこのまま登っても山頂で待機することになります。山頂は風が強いことが多いので焦って歩を進めずにここで時間調整
9合目の広場はベンチありトイレブースあり景色よしです。そして9合目を過ぎると傾斜がきつくなり足場もかなり悪くなるので、できるだけ9合目で休憩することをお勧めします。
9合目を出発し確実に前に進んではいるのですが、暗いせいか一向に山頂が近くならない気がする( ;´Д`)ちょいちょい立ち止まりながら「難所はどこだ?」と警戒しながら進んでいるうちに頂上についてしまいました。(この日は無風だったので良かったのですが、風が強い日は体が吹き飛ばされそうになるポイントが途中にあるそうなので気をつけてください。)
利尻山山頂
というわけで3時31分に利尻山(利尻富士)に登頂成功\(^o^)/
多少雲はありますが無風で暖かい。他の登山者もありません。場は整いました。
周りが少しずつ明るくなり雲海も出始めました。数分すると空が真っ赤に!皆で歓喜‼︎
そのうちに空の赤みは消え普通の曇り空へとなりました。あまりに赤く、明るくなったため雲の向こうで太陽が上がっているのだろう。今日は御来光は見られない。でもこれだけ素敵な朝焼けが見れたのだから十分だ!と思っていたところに
「うぉ〜御来光だぁ!山の神様ありがと〜〜」とまたしても歓喜!あまりの神々しさに感動が止まりません。
朝日が当たって景色、仲間、祠全てが美しく見えます。ふと山の後ろに目をやると
「やばいぃ〜!後ろにも利尻富士があるぅぅ((((;゚Д゚)))))))」
利尻富士の影が後方の雲海に映し出されていました。神様からのサプライズが止まりません。
もうお腹いっぱいです。この辺りから「俺たち今日死ぬんじゃないか?」とすら思い始めました。大満足!
そんなところに40半ばと見られるトレランのおじさんが参上!朝2時頃に旅館を出て登ってきたそうです。すごい。で「7時の朝食までにホテルに帰らないと妻に怒られるので」と言って写真を1枚撮って颯爽と帰って行きました。家族と山を両立させるとこうなるんだなと大変勉強になりました。
おじさんの登場により現実に引き戻され時間を確認すると4時半過ぎ。1時間近くも神様に遊ばれてたようです。最後の記念撮影を終え下山開始です。
下山
素敵な思い出を作ってくれた山頂ともお別れ。一般的な山とは違いひたすら下りです。むちゃくちゃ早い!
避難小屋でデポした荷物を回収し再出発。長官山まで来ると昨日同じフェリーに乗っていて少しだけ話した休憩中の山ガールに遭遇(≧∇≦) どこかですれ違うとは思ってたけどまさかこんな話しやすいところで会うとは。「神様こんなことまでしてくれるのですね!ありがとうございます。」と神聖な気持ちで心の中で礼を言い、神様に失礼がないよう(仲間が)連絡先を交換しました。帰りは違う便のフェリーだそうでたぶんもう会うこともないのでしょう。でも昨夜の山小屋の男性もそうでしたが出会えただけでも感謝です。
8時55分、北麓野営場に到着!無事下山です。テン泊用の荷物を撤収し管理棟へ行って下山後の手続きを済ませました。
島内探索
下山後はフェリー出港までかなり時間があるということで島の反対側の利尻町へラーメンを食べにタクシーで行くことになりました。軽く考えていたのですがタクシー代が片道で4500円~_~; 一人じゃなくて良かった。島の反対側にきても時間が早すぎてラーメン屋も開いてない。とりあえず仕込み中のラーメン屋に顔を出し荷物を置かせていただいて付近を歩いて周ることになりました。
で、開店時間。すでに数名が並んでいます。実はこのラーメン屋「味楽」さんはミシュランガイドにも載った超名店!確かに美味しかったしすっごく親切でした。
バスが2時間に1本くらいしかなかったので帰りもまたタクシーです。高いラーメン代になってしまいましたがこれだけ良い経験をしたのだからこれくらいの出費は仕方ないと自分に言い聞かせてみる。
フェリー乗り場までやってくると近くの広場でお祭りが開かれていました。ここでも神様のプチサプライズです。中央のテーブル席にいるほとんど全員が見たこともないくらい大きなウニを食べていました。「美味しそうだけどラーメン代高くついたしなぁ」なんて思いながら歩いていると「ウニ採り体験1回無料」の文字が目に飛び込んできました。さらなる神様のサプライズに感謝しつつウニを食しました。
離島
いよいよこの島を離れる時がやってきました。たった2日間でしたが素晴らしいことがありすぎて申し訳なくすら思えてきます。
船出の時神様の追い打ちがきました。なんとこの日は年に1度の「伝説の見送りイベント」の日だったのです。島の方たちが岸壁に集まり歌と踊りで見送ってくれます。そこには哀愁感はなく不思議な歌と踊りで笑いとともに送り出してくれるのです。たった1度の旅で利尻が好きになってしまいました。
本当に楽しかった!もう思い残すことはない!と思って船室に戻るとなんと僕たちの荷物が置いてあるスペースにあのめんこい山ガールの姿が!「神様、あなたという方は…」 もう死を覚悟しました。疲れ切っているはずなのに何かあるんじゃないかと怖くて帰りの車内でも寝ることができず。
利尻富士の神様は山を離れても最後まで僕たちを見ていてくれたようです。全員怪我もなく無事に帰宅することができました。3連休のうち2日も趣味に費やしたため家族からの冷たい目は避けられませんでしたが…。
2016年7月21日