山行記録 「大雪山系旭岳」
概要 |
「旭岳」『ウィキペディア』2015年1月29日現在 |
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標高 |
2290.9m |
主な登山ルート |
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リンク |
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その他 |
登山形態 |
ピストン |
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日程 |
2014年6月28日(日帰り) |
ルート |
往路: 旭岳温泉〜第一天女ヶ原〜第二天女ヶ原〜旭岳石室〜旭岳山頂 復路: 旭岳山頂〜旭岳石室〜姿見駅〜第二天女ヶ原〜第一天女ヶ原〜旭岳温泉 標高差:1195m |
メンバー |
2名(初心者×2) |
アクセス |
自家用車 |
地図 |
コースタイム
- 06時50分:旭岳ロープウェイ 旭岳駅
- 07時16分:第一天女ヶ原
- 07時34分:第二天女ヶ原(休憩)
- 08時40分:姿見駅付近
- 08時45分:姿見の池(休憩)
- 10時10分:旭岳山頂(休憩)
- 11時45分:旭岳石室
- 13時30分:姿見〜登山口
旭岳ロープウェイ 旭岳駅
北海道最高峰の旭岳に登るとあって僕は数週間もの間、旭岳について調べ周到な準備を進めてきた。心配性というか臆病というか…職場の先輩に言わせれば「お前は石橋を叩いて渡るどころか、叩きすぎて壊すタイプだ」というボクはメジャーな登山道であっても勢いで山に登るということはできず計画を練ってきた。「あれを買って、これを持ってそれを着て…」と。
周りに登山を趣味とする人もなく、ツーリングを兼ねてバイクで麓まで行き一人で登るつもりだったのだが、前日に職場で別の先輩にその話をしていたところ「おれも登るかなぁ」と一言。聞けば夏山は登ったことはないがバックカントリーの冬山登山はするのだという。しかも泊まりで!?こんな身近にそんな人がいたなんて。それにしても冬山はやるけど夏山は登らないって、そんな人もいるんですね。ボクが数週間かけて計画を練ってきた山にわずか数秒で登山を決心するなんて凄すぎる。一人で登ることに少しの不安を感じていたボクとしては渡りに船ということで同行をお願いした。
当日早朝(5時半頃だったかな?)、先輩がわざわざ家まで迎えに来てくれた。自分の体力に不安があったのでバイクでの移動をやめ先輩の車で一緒に行くことになったのだ。移動中に朝食と昼食をコンビニで買おうと話していたのだが、最初に入ったコンビニではおにぎりや弁当がほとんど売り切れていて朝食分しか買うことができなかった。まぁコンビニはどこにでもあるだろうし時間は惜しいがまた寄ればいいだけだなどど考えていたのだが、その考えは甘すぎた。旭川を抜けたあたりからだんだんと怪しい雰囲気になっていき、ついに周囲には店はおろか民家まで無くなってきた。数日前に行動食は多めに買っておいたのだが大人二人分の昼食を賄えるほどの量はない。どうしよう…と一人心配していたが先輩が運転する車はそんなことお構いなしに目的地である旭岳ロープウェイの駐車場に到着してしまった。
せっかくの登山なのでロープウェイは使わず1合目から徒歩で登ると決めていたのだが、とりあえず登山前最後のトイレをしておこうと思い駅に向かった。すると建物の中に立派な売店があるじゃないか!ぼくの不安は消え去った。食べ物はコンビニほどの品揃えではないにせよ必要十分なものが取り揃えてある。しかも、ホグロフスなどのウェアや登山用品まで取り揃えてある。ご当地ものの旭岳Tシャツも多数あって、しかも安くてかっこいい!綿100%なので登山には向かないだろうが生地も厚く丈夫そうで(こんな書き方をしたら失礼だが)おみやげ屋さんに置くのはもったいなく思えるほどの品質だった。ぼくは「無事下山できたら買って帰ろう」と大げさなことを考えていた。
そんなこんなで6時50分に最初の写真撮影をして登山開始。ロープウェイ旭岳駅の脇に登山口があった。多くの人はロープウェイを使って姿見駅から登るらしく1合目からの登山道は草が生い茂り最初の数分は草をかき分けながらの前進となった。足元は木道が整備されていたのだがところどころ木が腐っていて十分注意しなければならなかった。生い茂った草も頼りない木道も5分ほど歩くとなくなった。その後はすこしぬかるむ道を進むことになった。ぬかるみを見る限り僕たちがこの道を登る本日最初の登山者のようだ。ぬかるむ道も数百mもしないうちに変化し適度に石が混じった道へと変わっていった。
第一天女ヶ原
いまいち歩くペースがわからないので先輩に前を行ってもらい25分程で第一天女ヶ原に到着。ガイド本によるとここまで小一時間と書いてあるからかなりハイペースで歩いているようだ。天女ヶ原湿原には木道が整備されていて歩きやすく、旭岳が前方に見えテンションも上がった。歩き始めてそれほど経っていないということもあって休憩はせず歩きながらiPhoneで写真を撮って通過した。
第二天女ヶ原
そのまま歩き続けて出発から約40分後の7時30分過ぎ、最初の休憩ポイントとなる第二天女ヶ原に到着した。到着後は荷を降ろし木道に腰掛けて行動食をパクリ。ふと横を見るとトレッキングポールの上に小さなカエルが。グリップが気に入ったのかじっとして動こうとしなかったので写真を撮らせてもらった。先輩は半袖Tシャツとベストでは暑かったらしくベストを脱ぎバックパックにしまっていた。登山では面倒臭がらずにこまめに着たり脱いだりするのが大切で、たっぷり汗をかいてしまうと不快であったり体力が奪われるだけではなく、水分が欲しくなってガブ飲みしてしまったり汗が乾いて急激に熱を奪われたりと危険である。
天女ヶ原湿原 〜 姿見駅付近
さて、10分ほどの休憩を終え次の休憩ポイント「姿見の池」を目指してスタート。天女ヶ原湿原を終え姿見川(川幅1m強)を飛び石伝いに渡ると道は険しくなっていく。ゴツゴツした大きい石が増えてきたなと思っていたら今山行中最初で最後の雪渓が現れた。
200〜300mほどの短い雪渓で雪も硬くしまっていたため難なく歩くことができた。雪渓を抜け数分歩くと道が細くなり「雪渓で方向を間違ったかな?」とちょっと不安になりながらも前進すると姿見駅からの登山者が通る道との分岐点に出た。そして、そこで思わぬ出来事が!?登山を開始してからここまで他の登山者に会うことがなっかたのだがここの分岐点(丁字路)で職場の超上司にバッタリ出会った。1分でもズレていたら会わなかっただろう。なんという偶然。どうでもいい話だがこれにはかなり興奮した。
気を改め分岐点を右に進み姿見の池に向かう。
姿見駅付近
前方に目指す旭岳がそびえテンションも上がる。よく整備された登山道を進むと間もなく第二休憩ポイントの姿見の池に到着した。時刻は8時45分頃。出発から約2時間。ガイド本によると2時間半くらいということなので第一天女ヶ原までの貯金がそのまま残った形で、第一天女ヶ原以降の速度は適切だったようだ。初心者ならではのハイペースが疲労で治ったのだろう。
姿見の池
風がないときにはその名の通り旭岳の姿を水面に映し出すという「姿見の池」。当日は夏真っ盛りだというのに水面には氷が残り旭岳の姿を映し出すことはなかった。
続いて霧などで迷う登山者のために設置されたという「愛の鐘」。観光客と思わしき人達が順番に紐を引いて鐘を鳴らしている。そういえば確かに遠くからこの鐘の音は聞こえていた。が、周りの山に反射して方向はわからなかった。霧の中で道に迷った時、方向はわからなくともどこかから人工的な音がするということで遭難者に安心感を与えることはできるという意味では価値があるのかもしれない。
で、2回目の休憩。1合目から半袖で登ってきたのだが当然ながら標高が高くなるにつれ気温が下がってきた。登山口からここまで標高差にして500m、温度に変換すると3度くらい。あれ?数字にするとたいしたことないなぁ。気温というよりも周囲に風を遮るための樹木がなくなって風が体に直接当たるようになり、体感温度が下がったのかもしれない。というわけでここで長袖に着替えた。適当な場所がなかったためその場で上半身裸になって着替えてしまったのだが本来はどこで着替えるべきなのだろうか?ポンチョでも被って着替えるのが正しいのかな?山のマナーを学ばなくては
姿見の池 〜 旭岳山頂
ちょっと長めの休憩の後山頂に向け出発
姿見の池のすぐ横にある旭岳石室も気になったが天候が良いうちに山頂を目指そうということで石室は下山時に立ち寄ることにして山頂に向かった。姿見の池を越えると目立った植物もなく斜面もガレキだらけになった。多くの人が通っているのでコースは識別できるが、シーズン始めなどは道が不明瞭になるため注意が必要とのこと。
山頂に着くまで何度か休憩したが何号目という標識もないらしく、一応持参した地図とコンパスで現在地の確認も試みたがいまいち現在地はわからなかった。金庫岩だけは唯一のランドマークとして識別できた。金庫岩といえば89年の遭難事件ではそこを境に誤った方向へ下山して行ってコースに戻れなくなり死に至ったと考えられている場所である。同じ事故が起きないよう現在では迷い込み防止のためロープが張られていた。
登山中、団体さんや就学前の子供を連れた家族、手を引かれながら登ってくるお年寄り、赤ちゃんを背負って登ってくる夫婦などいろんな人達とすれ違った。それだけ親しまれ登山に向いた山なのだろう。すぐ近くに住んでいるのに今まで登ってこなかったことに後悔した。
旭岳山頂
そんなこんなで姿見の池から70分ほどで無事山頂に着いた。残念なことに山頂目前で曇りだし山頂からの展望を満喫することはできなかった。山頂には10名ほどの先客がいたが山頂部がそこそこ広いということもあったし皆譲り合って座っていたので写真撮影や山頂での休憩を楽しむことができた。最近はどこの山でも同じようだが街側の斜面は携帯(SoftBankほか)の電波もあるので家族へのメールや撮ったばかりの写真をFacebookで投稿することもできた。
下山
山頂を満喫し姿見の池の方に向かって下山しようとすると見知らぬ人に「そっちじゃない!」と声をかけられた。一瞬ドキっとしたがその人の顔を見ると笑顔だった。僕が不思議そうな顔をしていると「そっちに行ったらつまらないだろう。」と次の言葉が出てきた。なるほど、普通は旭岳駅〜山頂のピストンなんかせずそのまま東方向の間宮だけに向かい中岳分岐〜裾合平のループ経路を楽しむようだ。そうか、そうな楽しみ方もあったのか。もっと楽しみたい気持ちはあるがロープウェイを使わずに1合目から登ってきてそれなりに疲れているし、このあとまたロープウェイを使わずに下山する予定である。その楽しみは次にとっておこう!と自分に言い聞かせて下山した。
下山はスムーズだったが思ったよりも時間がかかった。登りが一般的なコースタイムより早かったのに対し、下りはほぼガイド本どおり。登りは疲れないように登り、下りは結構スピードが出ていたと思うのだが。経験が浅いので何が正しいのかわからない。2回ほど休憩したのち登山中立ち寄れなかった旭岳石室に到着した。
旭岳石室
旭岳の石室は2001年に避難小屋として建て替えられたものであるが、ロープウェイの姿見駅が近いということもあってその役割は…。僕たちが石室にたどり着いた時に丁度管理人さんが来ていてその話を聞くことができた。
中を見させてもらったがそれなりにキレイで機会があれば泊まってみたいとも思ったが避難先としてここに来ることはないだろう。山小屋として宿泊させてくれればいいのに。と無責任なことを考えてしまった。
姿見〜登山口
ロープウェイを利用するつもりはなかったが、トイレと駅見学のため姿見駅に立ち寄った。下側の旭岳駅同様想像以上に立派で飲食物やお土産物まで揃っていた。
姿見駅を出て下山道に入ってすぐにある雪渓で道を間違いかけた。雪上に踏み跡が少なく傾斜にそって歩いているととんでもない方に進んでいってしまうのである。数百メートル先に雪渓の終わりが見えているのでそこめがけて歩くよう注意しなければならない。
下りは膝への負担は大きいようだが体力的には登りに比べて楽で眼下の景色を見ながら歩けるということもありあっという間に登山口に到着した。
下山後は再度ロープウェイ駅に立ち寄り登山の記念にとTシャツを買って帰った。
2015年2月6日